リスクの高い肥満:内臓肥満型肥満にご注意

リスクの高い肥満:内臓肥満型肥満にご注意(服部学園理事・管理栄養士 鈴木あきらさん)

服部学園理事・管理栄養士 鈴木あきらさんのお話です。

コロナ禍でも「きちんと食べてきちんと寝てキチンと動く事」が肝要。

リスクの高い肥満 肥満の危険性

内蔵脂肪型肥満がハイリスク。腕や脚には脂肪が少ないのに、お腹や腰回り がぽっこりという状態。

内臓脂肪が過剰に蓄積されると、

  • 血液の機能に悪影響を及ぼす物質が増加
  • 動脈硬化が進行
  • 心臓病、脳卒中など

命に関わる病気が発生する危険度が高まる。

内臓脂肪を溜めないためには

「青魚」「さばやいわし」

まずは、「青魚」「さばやいわし」を食事に取り入れる。青魚に含まれる、BHAとEPAは内蔵脂肪になりにくい脂質。血液をサラサラにして動脈硬化を予防し、中性脂肪を下げる効果も期待できる。

タンパク質

次に、脂肪を燃焼させる栄養素として重要なのが「タンパク質」。エネルギーを燃やす原料になる。痩せやすく太りにくい体のベースとなる基礎代謝を維持するために重要な栄養素。 卵、牛乳、肉、大豆製品に含まれている。

食物繊維

さらには、食物繊維を多く摂る事を心がける。 野菜や豆類、きのこ類、海藻類。低カロリーで食物繊維を多く含み、腹持ちがいいので、内臓脂肪を増やさない最適の食品脂質や糖質の吸収を妨げる働きもある


タンパク質と食物繊維を上手に摂れるのが「きのこ」。きのこに含まれる食物繊維は、腸内のコレステロールや脂質を吸着すると共に、代謝アップに効果的なビタミンB群や 肝臓の働きを助けるオルニチンが豊富に含まれており、体の脂肪燃焼効率を高める事も期待できる。

1日3度の食事

1日3度の食事を摂る事が原則。食事の回数を減らして一度に大量に食べるまとめ食いをすると、食事の間隔が伸びて飢餓状態が長くなり、体に蓄えておこうという適応現象が起きてしまう。

また、早食いをすると、食欲のブレーキがかかる前に食事を終えてしまうため過食になる。加えて、一口30回以上咀嚼する事が必要。

鈴木あきらさんのプロフィール

生年月日

1947(昭和22)年5月29日

学歴

1968年 学校法人服部学園服部栄養専門学校卒業

その他

  • 管理栄養士・栄養士・調理師・製菓衛生師
  • 長生きができる食生活について、食品学・栄養学の知識をふんだんに織り込みながら、わかりやすくユーモアあふれる楽しい講演は各地で好評を博す。

食事で内臓脂肪を減らす(OMRON 健康サポート情報)

ヘルスケア製品で有名なOMRON社のWebサイトにも「食事で内臓脂肪を減らす」というテーマの記事が掲載されています。抜粋してご紹介します。

Lesson1:肥満はなぜ怖いのか

肥満は多くの病気の要因

肥満は、驚くほど多くの病気をまねく要因となります。
たとえば私たちの体内では、年齢とともに筋肉量や骨量が減り、からだを支える力が弱くなっていきます。そこに肥満が加わると、骨や関節への負担が大きくなり、腰痛や膝痛などの関節障害を起こしやすくなります。転んだりして急に大きな負担を受けると、骨折を起こすことも少なくありません。
また肥満は、高尿酸血症から痛風をまねいたり、脂肪肝やすい炎を促進したり、あるいは突然死の原因ともなる睡眠時無呼吸症候群にも大きな影響を及ぼしています。
さらに、大腸がんや前立腺がん、乳がん、子宮がんなど、多くのがんのリスクを高めることも指摘されています。

肥満と生活習慣病

肥満との関係でもっとも注目されているのが、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病です。また、これらの病気が重複して発症するメタボリックシンドロームとも、密接な関係があります。
肥満を放置していると、こうした生活習慣病を悪化させ、血管を傷つけたり、もろくしたりして、やがて動脈硬化を引き起こします。その結果、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気へと進む原因ともなります。
日本人には小太りの人は多いのですが、欧米人のような超肥満体の人はあまりいません。それは日本人の場合、もともとインスリンの分泌能力が低いため、少し太ると糖尿病をはじめとした生活習慣病になりやすく、それ以上は太れないためです。
それだけに日本人は、肥満にはとくに気をつける必要があります。

Lesson2:肥満と体脂肪

肥満と体脂肪

生活習慣病との関連でいえば、肥満とは体脂肪が必要以上に増えた状態のことなのです。
私たちのからだは、大別すると水分、筋肉、脂肪(体脂肪)からできています。
このうちの体脂肪は、エネルギーを貯蔵したり、内臓を保護するなど、生命活動に欠かせない重要な役割をしています。ところが体脂肪が増えすぎて肥満状態になると、Lesson1 で紹介したようなさまざまな悪影響を及ぼします。

体脂肪はなぜ増える

体脂肪は、年齢とともに増加する傾向があります。
その理由は、基礎代謝量(呼吸や心臓の拍動など生命の維持活動のために最低限必要となる消費エネルギー)が減少するためです。

基礎代謝量のうち、もっとも大きな割合を占めるのは筋肉ですが、加齢とともに筋肉は減る上に中年になるにつれ運動をしない人が増えるため、ほとんどの人は筋肉量が減少します。それに気づかず、若い頃と同じように食事をしていると、慢性的な食べすぎや飲みすぎの状態からカロリー過多となり、それが体脂肪となって蓄積されます。
若い頃と体重があまり変わらない人でも、実は筋肉量が落ち、代わりに体脂肪が増え、見かけの体重だけが同じということも少なくありません。
また仕事の忙しさなどから、食事を抜くなどの不規則な食生活をしていると、からだが危機感をもち、食事から得たエネルギーを脂肪分として蓄えようとします。それも体脂肪が増える理由のひとつです。

Lesson3:内臓脂肪型肥満に気をつけよう

体脂肪には2種類ある

体脂肪には、皮下脂肪(皮膚の下に蓄積される脂肪)と、内臓脂肪(内臓のまわりに付く脂肪)があります。

皮下脂肪

二の腕、お尻、太もも、下腹などに付きやすく、プロポーションのくずれの原因となります。女性に多くみられ、生活習慣病との直接的な関係は薄いとされますが、皮下脂肪が多くなると内臓を圧迫し、さまざまな弊害をもたらすこともあります。

内臓脂肪

腸管などの内臓の周辺に脂肪が付くと、お腹(ウエスト)のあたりがポコッと出てきます。やせ型や普通体型の人でも、ウエストが太くなったら要注意。30歳以上の男性に多くみられ、生活習慣病に関係が深いタイプの脂肪です。

内臓脂肪型肥満の怖さとは

内臓脂肪が多いタイプを、内臓脂肪型肥満といいます。
実は体脂肪の中でも、この内臓脂肪が多い肥満こそが、生活習慣病にもっとも悪影響を及ぼします。
なぜ内臓脂肪は、よくないのでしょうか。
内臓周辺に蓄積する脂肪は代謝が盛んで、血液中の脂質濃度を高める原因となります。
またインスリン抵抗性といって、すい臓から分泌されるインスリンの働きを悪くします。さらに、脂肪細胞からは血圧を上昇させる物質が分泌されます。

その結果、脂質異常症、糖尿病、高血圧、さらにはこれらが重なったメタボリックシンドロームなどをまねきやすくなるのです。つまり、内臓脂肪型肥満はさまざまな生活習慣病の元凶ということができます。

Lesson4:体脂肪率や内臓脂肪レベル

体脂肪率を測定してみよう

体重に占める体脂肪の割合を、「体脂肪率(%)」といいます。
一般に、健康的とされる体脂肪率の目安は、男性は10〜19%、女性は20〜29%です。体脂肪率がそれ以上になると、肥満ということになります。

軽度肥満中等度肥満重度肥満
男性体脂肪率20%以上25%以上30%以上
女性(15歳以上)体脂肪率30%以上35%以上40%以上
体脂肪率による肥満の目安


体脂肪率は、家庭用の体重体組成計(体脂肪計)で簡単に測定することができます。
ただし、体脂肪率の測定値は、体内の水分量などによって変動しやすいので、食後2時間以上あけてから測定するようにします。毎日同じ時刻に測定するなど、測定方法を守り、自分の体脂肪率をチェックしてみましょう。

自分の内臓脂肪を知るには

体脂肪の中でも、とくに生活習慣病と関係が深い内臓脂肪の割合を正確に知るには、病院で検査を受ける必要があります。病院では、腹部CT検査により、へその位置で内臓脂肪の面積(断面積)が100cm²以上ある場合を「内臓脂肪型肥満」としています。
また家庭でも、内臓脂肪の測定機能をもつ体重体組成計によって、内臓脂肪型肥満の可能性(レベル)を知ることができます。

Lesson5:食事で内臓脂肪を減らす

肥満の2大原因は、食べすぎと運動不足です。まず自分の食生活を見直し、肥満につながることを避けるようにしましょう。

腹八分目にする

90歳、100歳といった長生きの人には、肥満や生活習慣病が少ないという特徴がみられます。健康長寿の秘訣をたずねると、「腹八分目」や「粗食」をモットーにしていることが少なくありません。粗食といっても、和食をベースに、魚、野菜、海藻類など多くの品目をバランスよく食べています。ただし、量はけっして多くありません。腹八分目を心がけ、動物性脂肪が少ない和食を上手にとり入れることが大切です。

食物繊維を多くとる

野菜や豆類、キノコ類、海藻類などは、低カロリーでしかも食物繊維が多くて腹持ちするので、内臓脂肪を増やさない最適の食品です。また食物繊維には、脂質や糖質の吸収をさまたげる働きもあります。おかずに積極的にとり入れましょう。

ゆっくりよく噛んで食べる

早食いをすると、満腹感を感じる前にたくさん食べてしまいがちです。血糖値を急上昇させたり、余分な脂肪分の蓄積を増やす結果にもなります。
ゆっくり時間をかけ、よく噛んで食べると、食べる量を無理なく減らすことができます。

夜食はひかえる

夜食は太る…最近の研究から、それが証明されました。夜たくさん食べると、体内時計に関係するタンパク質(BMAL1)の働きで、脂肪細胞だけでなく、そのほかの細胞にまで脂質が蓄積されやすいことがわかったのです。夜間はとくに食べすぎに注意が必要です。

アルコールはほどほどに

厚生労働省の調査(「健康日本21」)では、男性には肥満とならんでアルコールをたくさん飲む人も増えています。アルコールには栄養はほとんどありませんが、カロリーは少なくありません。またアルコールを飲むと、おつまみに揚げ物や炒め物など高カロリーのものを食べたくなるので、それもカロリー過多になる原因です。
アルコールの量は、ほどほどに。ちなみに健康の目安とされる量は、1日当たりビール大瓶1本、日本酒1合、ワイン2杯程度です。

Lesson6:運動で内臓脂肪を減らす

皮下脂肪とくらべると、内臓脂肪は運動によって減らしやすいという特徴があります。毎日の生活に適度の運動をとり入れて、脂肪の付きにくいからだをつくりましょう。

基本は有酸素運動

脂肪を効率よく燃焼させるのが、ウォーキング、アクアサイズ(水中運動)、軽めのジョギング、エアロバイク(固定式の自転車こぎ)などの有酸素運動です。

仕事をもっている人でも、ひとつ手前の駅で降りて歩く、昼休みに歩く、夕食後(食後1〜2時間後)に散歩がてら歩くなど、工夫してみましょう。
最近は、坂道や階段を歩くスローピングも注目されています。坂道や階段は足腰にかかる負荷が大きいので、短時間で運動効果が期待できます。
肥満や高齢などが原因で、足腰が弱っている場合には、浮力を利用したプールでのアクアサイズが適しています。水中運動の教室などを開いている施設に、相談してみましょう。

筋肉運動で基礎代謝量をアップ

筋肉量が増えると、基礎代謝量(生命維持に必要な基本的なエネルギー消費量)が多くなり、エネルギー消費量も増えます。それだけ脂肪が付きにくいからだをつくることができます。

筋肉運動といっても、バーベルを持ち上げるような強い運動は必要ありません。先ほど紹介したスローピングや、テレビを見ながらの軽い腹筋や背筋運動、浅めの屈伸運動のくり返し、ダンベル運動など、いろいろな方法があります。足や腕に適度の負荷をかけ、筋肉を維持することが目的なので、無理をせずに少しずつ続けましょう。

自分でもウォーキングの途中で、軽い屈伸運動や腕立て伏せをとり入れるなどして、有酸素運動と筋肉運動を適度に組み合わせることができます。両方を組み合わせると気分転換にもなるので、体力に合わせて無理をしない形で工夫してみましょう。

Lesson7:間違ったダイエットに注意!

ダイエットに挑戦して、失敗した経験がある人は多いでしょう。間違ったダイエットをすると、かえって脂肪を増やす原因にもなりかねません。よくあるダイエットの間違いを知っておきましょう。

食事を抜くダイエットは×

肥満を解消するためのダイエットの基本は、摂取カロリーを減らすこと。でも、朝や昼を抜いて、夜だけしっかり食べるようなダイエットは禁物です。
食事を抜くと、まず脳が危機感をおぼえ、食べるときについたくさん食べたくなります。またからだも危機感をおぼえ、食べたものをできるだけ脂肪として蓄えようとします。その結果、脂肪が蓄積しやすいからだになってしまうのです。
栄養バランスを考えて3食をきちんと食べながら、食事ごとの摂取カロリーを少しずつ減らすことを心がけましょう。

食事制限だけのダイエットは×

食事制限だけでダイエットをすると、体重が減ったときに、脂肪だけでなく筋肉量や骨量が低下してしまいます。するとからだを支える力が弱くなり、肩こりや腰痛、膝痛などを起こしやすくなり、更年期以降の女性では骨粗しょう症の危険性も高まります。
またダイエットを中断してリバウンドが起きたとき、今度は筋肉量や骨量は戻らず、脂肪分だけが増えてしまいます。いろいろなダイエットをしてリバウンドをくり返すと、かえって脂肪が増えやすい体質になってしまうのです。
ダイエットをするときは、筋肉量や骨量を減らさないように、運動を上手に組み合わせることが大切です。

薬頼みのダイエットは×

医師の指導によって病院で使う肥満症の改善薬のほかには、ダイエットに効果があると認められている薬はありません。
最近はインターネットなどで、外国のダイエット用サプリメントなどを使用する人が増えていますが、その中には日本で認められていない薬物が入っていて、危険なケースも少なくありません。また自然成分をうたっているものにも、実際には認可されていない化学物質が入っているケースもあり、健康を害する危険性もあります。
ダイエットは、食事と運動で行うものであることを忘れずに。

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